
『感情のブレ』を力に変える
アサーション&レジリエンス心理学 実践講座
不確実性の高い現代で
なぜ「レジリエンス」や「アサーションスキル」が必須なのか?
不確実性の高い現代(VUCA時代)において、レジリエンスとアサーションが「あれば便利なスキル」ではなく「生き残るための必須スキル」と言われています。
なぜなら、私たちが直面するストレスの質が変化したからです。
一言で言えば、「正解がない中で、自分をすり減らさずに他人と合意を形成し続ける必要があるから」なのです。
また、組織において、かつてのように環境が安定していれば、リーダー 一人が正解を持ち、部下をコントロールする「トップダウン型」が効率的でした。しかし、正解のない現代では、現場一人ひとりの気づきや違和感を吸い上げることがリスク回避とイノベーションに直結します。
価値観が多様化し、前提(コンテクスト)が異なる人々と働く現代では、「言わなくても分かる」は通用しません。そこで、適切に情報を交換するための「共通言語」であるアサーションが必要となります。
一方で、不確実な世界ではどれほど優秀な人でも「失敗」や「想定外」をゼロにすることは不可能です。そのため、「いかに転ばないか」よりも、「転んだ後にどう立ち直るか」に焦点が移っています。レジリエンスは、環境の変化に耐え、自律的に回復するための「バネの様な生命力」。
この二つの能力を持つ人こそが、不確実な時代を面白がりながら進んでいけるのです。
本講座では、「アサーション」と「レジリエンス力」向上に、特に重要とされる5つのスキルと、それを支える心理学的アプローチを学びます。
【アサーション&レジリエンス心理学 実践5回講座 カリキュラム】
第1回 メタ認知と感情知能(EQ)の向上
スキル:自己認識と感情のコントロール
不確実性の高まりは、不安やストレスを増大させます。この中で、衝動的な行動や過度な反応を防ぐスキルが重要です。
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メタ認知: 「今、自分は何を感じ、何を考えているか」を客観的に把握する能力により、不安や苛立ちといった感情に飲み込まれず、感情と行動を分離できます。
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感情の調整: 他者とのコミュニケーションにおいて、自分の不安や怒りをコントロールし、冷静に状況を判断する能力。特にリーダーシップ層では、チームの感情的な安定剤となるために必須です。
第2回 アクティブ・リスニングとエンパシー(共感)
スキル:安全な心理的空間の提供
不安が蔓延する環境では、人々は「理解されたい」「安心したい」という欲求が高まります。
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アクティブ・リスニング: 単に話を聞くだけでなく、相手の非言語的なサイン(表情、声のトーン)にも注意を払い、「相手の主観的な世界」を理解しようと努める姿勢です。
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エンパシー: 相手の感情を推し量るだけでなく、「あなたと同じように私も感じていますよ」というメッセージを伝え、心理的安全性を確保する能力。これにより、チームメンバーがリスクを恐れずに意見を言える環境が生まれます。
第3回 アサーティブなフィードバックと対話
スキル:相互尊重に基づいた率直な意見交換
不確実な状況下で迅速かつ最適な意思決定をするには、本音の意見交換が不可欠です。
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アサーション: 相手の権利や気持ちを尊重しながら、自分の意見や懸念を率直に伝える表現技術。攻撃的にならず、また非主張的にならずに、課題を正面から議論できます。
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建設的なフィードバック: 「人格」ではなく「行動や成果」に焦点を当て、「Iメッセージ」を用いて伝達するスキル。これにより、相手の自己肯定感を傷つけずに改善を促せます。
第4回 成長マインドセット(Growth Mindset)の醸成
心理学アプローチ:変化への前向きな適応
失敗や予期せぬ変化が避けられない時代において、このマインドセットは個人と組織のレジリエンスの核となります。
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成長マインドセット: 能力や才能は固定的ではなく、努力と経験によっていくらでも成長できるという信念です。
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効果: 失敗を「学びと成長のためのデータ」として捉え直し、不確実性や困難な状況を「避けたいもの」ではなく「挑戦すべきもの」に変える力を与えます。このマインドセットを持つコミュニケーションは、チーム全体に前向きなエネルギーを与えます。
第5回 共同体感覚の強化と社会的支援
心理学アプローチ:所属と貢献の意識の明確化
不確実な世界で孤独感や不安を感じる人々にとって、所属感(居場所)と貢献感(役に立っている感覚)は最も強力な心理的支えになります。
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共同体感覚(アドラー心理学): 「私はコミュニティの一員であり、誰かの役に立っている」と感じる感覚を育むコミュニケーションです。
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社会的支援: 組織内で、メンバーがお互いに精神的、物理的なサポートを提供し合えるネットワークを構築する能力。これは、不測の事態や過度なストレスからメンバーを守るセーフティネットとして機能します。
【このようなことに役立ちます】
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失敗の日常化への対応: かつては一度の成功ルートを辿れば安泰でしたが、今は試行錯誤(トライ&エラー)の連続です。レジリエンス力を高めて、失敗で心が折れても再起できるようになります。
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「適応的成長」の源: 単に元に戻るだけでなく、逆境から学び、以前より強い状態へと自分をアップデートする力が身につきます。
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心理的安全性への寄与: 自分がレジリエンスを持っていれば、変化を恐れずに挑戦でき、それが周囲の安心感(心理的安全性の高いチーム作り)にも繋がります。
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「認知のズレ」による疲弊を防ぐ: 人々の間には必ず認知のズレが生じます。アサーションができない(=言いたいことを飲み込む、あるいは攻撃的に伝える)と、このズレが放置され、人間関係のトラブルや業務上のミスが激増します。そういったトラブルを防ぐことができます。
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「振り回される自分」からの脱却: 境界線(バウンダリー)を明確にし、「できること・できないこと」「譲れない価値観」を誠実に伝えることで、過度な同調圧力や搾取から自分を守ることができます。
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心理的リソースの節約:「相手はどう思っているだろう?」と疑心暗鬼になるのではなく、率直に確認し合う文化を作ることで、コミュニケーションコスト(脳のエネルギー消費)を最小限に抑えられます。
変化の時代を「しなやかに」生きるために
現代を生きる私たちは、いわば「終わりのない航海」をしているようなものです。
不確実性が高く、変化の多いなかで「しなやかに」生き抜くために
本講座の学びを通して「船体の強度(レジリエンス)」と、目的地へ向かうための「舵取り(アサーション)」を身につけましょう。
みなさまのご参加を心よりお待ちしております。